コンプライアンスの違反と組織的な要因は大きな因果関係がみられることがあります

判断力の低下や麻痺によって起こるコンプライアンス違反

コンプライアンス違反は、社員が通常有する程度の正常な判断力を持っていれば、予防する事ができると言えるでしょう。

しかし、実際にコンプライアンス上の不祥事や不正が発生したケースを見てみると、判断力は低下し、麻痺している状態であることが指摘できます。

一体どのような原因によって、正常な判断力が失われてしまったのでしょうか。

まずは、組織的要素です。

組織的要素とは、会社に属することによって受ける影響のことだと考えると分かりやすいでしょう。

会社であれば、経営上の理念や事業内容、企業風土や組織文化といったものから、働く人々の傾向や様子など細部にわたるものも含みます。大きな意味での会社、小さな意味での従業員個人、全てが要素となり得ます。

これらは、会社が業績を上げ、上手く回っているときには問題ないのですが、不景気やライバル企業の登場などによって業績が低迷しだすと、上手く機能していたものの歯車が狂い出すことがあります。それらが、一般的な社員の判断力や、コンプライアンスに対する意識を麻痺させると言われています。

他には、社会的要素があります。

社会的要素とは、利益を偏重的に追求する株主や投資家集団、自分自身の利便性を企業に強く求める一部の消費者などを言います。

これらの存在も、会社の活動が順調である時には適切にモニタリング機能として働きかけるのですが、業績が厳しいような時にはモニタリング的要素を逸脱し、権限を大きく持つことによって組織内への圧力へと変貌してしまうのです。

個人より会社、会社より社会を考えていく

株主や消費者の声を無視した企業活動は、企業が採るべき活動して適切ではありません。

ですから、コンプライアンス違反を防ぐという理由のために社会的要素から目を背けるということは事実上不可能です。

社会的要素と組織的要素は、全く関係性がないということではありません。組織的要素を取り囲むように社会的要素が存在しており、イメージ的には社会的要素の方が存在としては大きなものとなります。

ここで、社会的要素を外部環境、組織的要素を内部環境と捉えてみまうす。外部環境である社会的要素は、企業の力でも個人の力でも変えることはできません。しかし、内部環境である組織的要素は、企業や個人の働きかけによって柔軟に変えることができるのです。

社会的要素が変化しても、組織的要素をそこに適合させる変化・取り組みを行うことで、社会的要素に常にマッチした組織的要素を構築することできます。そして、マッチ(最適化)が図られている状態を維持することができれば、組織的要素の内部にいる社員は判断を誤らせることを防げますので、コンプライアンス違反へのリスクは極小化されるということがいえるでしょう。

不祥事や不正を起こした会社を責めたて、当該会社が個人を責めたてるということでは、組織的要素での最適化が図られたということにすぎません。不祥事を起こしてしまった会社に対しては、社会全体が責めるだけではなく是正への道筋を示すような風潮になることが、社会全体のコンプライアンス違反の改善に繋がるということです。

コンプライアンスを生み出すのも、なくすのも社会全体が大きく関わっているのです。

 

コンプライアンス違反の原因

カテゴリ

Page top icon