経営者だけではなく、全ての社員が遵守すべきものであるという点が、コンプライアンスをより複雑なものにしています
どう捉えるのかによって大きく変わるコンプライアンス
コンプライアンスは、捉え方によって意味が大きく異なる言葉だと言えます。
直訳の意味である「法令遵守」とだけ捉えていると、言葉の持つ範囲は大変狭くなります。
しかし、少なくでも日本で解釈されているコンプライアンスには、法令遵守以外の意味も持っています。
これらの意味を含めると、言葉の持つ範囲はどのように変化するのでしょうか。
コンプライアンスを、「法律を守りながら社会からの信頼や期待に応え、企業理念や倫理規定を定めて社会貢献を行うことである」という意味で捉えたとしましょう。
この場合には、範囲は法令遵守だけに留まらず、広くなるのは明らかです。
では、実際にビジネスの世界で求められているのはどちらでしょうか。
捉えることよりも、実践して行動に起こすことが重要
単なる法令遵守という取り組みは、ビジネスの現場では至極当たり前のことであり、企業や企業人として当然の事をしているまで、と言われるのではないでしょうか。
また、お客様を含むステークホルダー(利害関係者)は、法令遵守のさらに先のことを求めているのも明らかです。
ビジネスの世界においては、コンプライアンスは、もっと広い範囲で捉えることが重要だと言えるでしょう。
もちろん、ただ捉えるだけでは意味がありません。しっかりと、その活動を実践する事が重要となります。
コンプライアンスに関して社員の口から良く聞かれるものとして、「分かっているけれど実践できない」ということがあります。
これば、分かっているというのは嘘であって、本質を分かっていないことが多いのです。イメージ的にコンプライアンスを捉えているだけで、本質的な内容を押さえていないから、自分の行動面にまで落とし込むという作業がなかなかできないということです。
このような時には、具体的な事例などを豊富に示しながら、コンプライアンスへの取り組みを組織ぐるみで行っていく必要性が高くなります。
社員がコンプライアンスについて十分に分かっているのならば、日々の行動において実践することができるのでしょうから、できないということは分かっていないということなのです。
しかし、これについて社員を責めるのは酷だと言えるでしょう。コンプライアンスへの取り組みが遅れているのならば、それは社員の責任ではなく、企業など組織の責任であるはずです。
まずはコンプライアンスの真の意味を分かる=解る=理解することが重要で、それが出来でから始めて、行動に起こすという仕組みを作っていくことが必要なのです。