コンプライアンスの基本は、まずは歴史を知り、理解することが大切です。
コンプライアンスはまずはアメリカで叫ばれた
日本におけるコンプライアンスとは、「法令遵守」(法令順守ともいいます)を意味する言葉として、広く知られるようになりました。
では一体、コンプライアンスとはどのような歴史を持つ言葉なのでしょうか。
この言葉が知られるようになった背景として、1960年代のアメリカでの風潮が挙げられます。
1960年代のアメリカでは、企業、団体、組織が独占禁止法の違反など様々な法令違反を行っていました。
こうした法令違反に対する対策として生まれたのが、コンプライアンスです。
消費者の価値観変化など企業・団体・その他組織を取り巻く環境が大きく変わる中、あらゆる組織が今までと同じやり方では生き残りが厳しくなるなど、社会的に「変化への対応要請」が高まってきたのです。その第一義的な項目として、法令への対応、すなわちコンプライアンスが注目されるに至ります。
そこで、あらゆる組織体では、独自にコンプライアンスへの対策プログラム(適合するという意味で対応プログラム、といった方がより適切でしょう)を作成し、実践していきました。
こうしてコンプライアンスとは、法令遵守という意味を持つ言葉として、ビジネスの世界において浸透して行ったのです。
コンプライアンスの広い解釈
しかし誕生した当時は、コンプライアンスとは関係する法令を守るという意味だけでした。
そこから、世の中の常識や良識といった社会的な規範をも守る事が含まれるようになり、最終的に現在のような組織の理念やビジョンに適した行動をするという事も、含まれるようになったとされています。
特に、日本の法令(法律)というのは、古くから制定されたものがいまだに大半であり、それが普通に運用されていることもあって、コンプライアンスの解釈は広く捉えられているのが一般的です。
つまり、単に法令(法律)だけを守っていれば良いということではなく、それ以外の価値観なども含めて、対象範囲が広いというのが特徴的です。言い換えれば、法律が追い付いていない、または法律で定めのないものですら、しっかりと守っていくという考え方が支配的であり、それがコンプライアンスという言葉の中に組みこまれているということです。
結果的に、コンプライアンスという言葉が「曖昧」であるという弊害を生み出してしまい、良い面と悪い面をもたらしてしまいました。
それぞれの組織が柔軟かつ自由にコンプライアンスに取り組むことができるという良さを残す一方で、コンプライアンスへの取り組みがルール化されにくく、制度的な運用が難しいという問題が存在するようになっています。