コンプライアンス教育において時間の概念は重要、時間が浸透を促すことも多いので早めの対策がポイントです

どんなに良い教育をしても急激には浸透しない

コンプライアンスに関する教育を受け、概要や意味の知識を修得した後、社員は「行動派」、「無関心派」、「反発派」に分かれると言われています。

もっと分かりやすく言えば、肯定する社員・普段と変わらぬ社員・否定する社員という感じでしょうか。

これは、研修スタイルによる差はありません。研修会社やコンサルティング貸家などの外注先から専門家や講師を招いて研修を行った場合でも、e-ラーニングを利用して動画受講した場合でも、同様です。

コンプライアンス研修を実施した直後には、それぞれ同じ比率(33%ずつ)に分かれるものと考えて良いです。

しかし、学んだ知識が現場での業務活動を通じて関連付けされてくることで、コンプライアンスに関して深い理解が促進され、さらなる理解が深まっていくにつれて、行動派が50%と半数を占めるようになります。

こうした状態で、定期的に外注先から専門家や講師を招いてコンプライアンス研修を行っていると、行動派が75%程度に増加します。e-ラーニングによる学びでも問題ありません。大切なのは、継続教育です。

このように、コンプライアンスは急激に社内に浸透することは少なく、じわじわと広がっていくことになります。

人の考え方や行動がすぐに変わることはありません。コンプライアンスがいくら重要だからといっても、すぐに実務と関連付けて行動レベルでの変容を実現できるかといったら、それは10人中3人ぐらいでしょう。

残りの人は、一定の時間を経るなかで、既に行動変容を実現した行動派の影響も受けながら、徐々に変わっていくわけです。

そのため、緩やかに、焦らず、浸透させていかなければいけません。

急激に変化させようとすると、組織内に歪みのようなものが現れ、リバウンドのようなかたちでマイナスの影響をもたらしてしまうことがあります。

コンプライアンスの浸透は、意図的に時間をかけて、じっくりと行っていくことが非常に意味のある取り組みであると言えるでしょう。

長期的な目線でコンプライアンス教育を考える

コンプライアンス教育で目指したいのは、行動派が90%となる、社内にコンプライアンスが浸透した状態です。

このような状態に持っていくには、5年~10年程度かかると言われています。

意外に思った人も多いのではないでしょうか。しかし、組織が変わるためには構成要素である人が変わらなければなりません。そして、人というのは、あなたも含めてそう簡単には変わることができないわけです。変化を受け入れ、すぐに変わることができるような人も存在しますが、極めて例外的な存在だといえるでしょう。

人はじっくりじっくりと変わっていき、それがいずれ組織自体を変化へと導くことになるわけです。

コンプライアンス教育は、長期プロジェクトなのであって、企業によっては「経営戦略レベル」に位置付けています。ですから、コンプライアンス経営という言葉があるのですが、いずれにしてもコンプライアンス担当者は、腰を据えてじっくりと教育に取り組んでいくことが求められるのです。

そして、効果が現れる前に、コンプライアンス違反を発端とする不祥事が生じることがないように、社内をしっかりとモニタリングしながら、必要に応じて適宜指導を行っていく必要があります。

 

コンプライアンス教育の方法について

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