判断力が散漫になってしまうと違反につながるケースが多い。適切な判断をするためには適度な緊張感も大切です。

疲れていることがコンプライアンス違反に繋がる

ビジネスパーソンとしての立ち位置においてコンプライアンスの意味を理解するには、道徳やモラルが必要です。

ですから、道徳やモラルに関する判断が甘い人は、コンプライアンス違反を犯しやすい傾向にあります。

人としてその行動が正しい事であるかどうかといった判断は、大変重要な意味を持ちます。その判断が甘いという事は、不正を行っても利益に繋がるのならば良いといった考え方になりかねません。

こうした判断は、正常な人ならばきちんとした対応が行えるはずです。

正常な人というのは、充実した日々を送っており、気力体力ともに充実している人、とここでは解釈することとします。

しかし、肉体的にも精神的にも追い詰められていた場合、異常とまでは言わないにしても正常さを失い、間違った対応を行ってしまいがちになることがあります。

車の運転も、普段通りであれば事故を起こすことはありません。注意力が散漫になっていたり、考えごとをしてしまうなど、普段(正常)の状態から逸脱した時に、事故を起こしてしまうわけです。本当にちょっとしたことなのに、それが大きな事故に発展してしまうという怖さがあります。

社員が正常さを失ってしまう状況というのは、一概に言えません。

例えば、過度な残業によって、肉体的にも精神的にも疲れていた場合もそうでしょうし、新しい部署に異動になった緊張感もあるかも知れません。また、プライベートで大切な家族を亡くすといったこともあるでしょう。プライベートな部分まで会社が関与するのは容易なことではありませんが、少なくても業務に関しては管理者がしっかりとモニタリングを行うことで、過度な負荷を抱えていないかをチェックしていく必要があります。

プライベートに入り込み過ぎるとパワハラなど別の問題を引き起こすこともありますので難しい部分もありますが、それでも日々の声掛けなどによって、様子がおかしいようであれば相談などを通じて、負荷の軽減に配慮することは必要だと言えます。

企業が率先して環境整備を行うこと

過度な残業自体は、コンプライアンスの意味から捉えると、企業側の違反と言えるでしょう。

コンプライアンス違反を予防するためには、社員が肉体的にも精神的にも健康で、正しい判断を下せるような環境の整備が必要です。そして、このような労働環境を提供しなければならないのは企業側ですから、コンプライアンスというのは企業に対しても十分な対応を要求するものであると指摘することができます。

コンプライアンスは社員(個人)の不祥事が注目されることが多いのですが、実際にはそれを誘発しているのは「会社側」であることも少なくありません。本来、会社というのは社員を守る立場にあるはずが、結果的に社員を追いつめてしまうということがあるわけです。

ブラック企業などと叫ばれることもあるのですが、コンプライアンスは一社員の問題として捉えるのではなく、企業側の問題、すなわち取り組むべき課題であるともいえるのです。

 

コンプライアンス違反の原因

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