企業コンプライアンスと労働者は大きな関連性があり、働き方の変化もコンプライアンスに影響しています

人材の流動化がもたらすコンプライアンス問題

企業コンプライアンスという考え方に、雇用形態の変化が影響を与えていると言われているのですが、これはどのような意味でしょうか。

現代は、多くの業界で長期的な不景気状態が続いています。

さまざまな企業でリストラが行われ、これまでの日本の企業に多かった家族的経営も崩壊しつつあります。

その結果、人材の流動化が進行し、会社に対する責任感や忠誠心の薄れ(組織力の弱体化)が指摘されるようになりました。

アルバイトによる不祥事や、転職をした元社員による不祥事の告発などが、それを意味していると言えるでしょう。

バイトテロという言葉があります。社内で不適切な行為を行ない、それを動画に撮影し、ユーチューブなどの動画共有サイトへ投稿し、企業に大きな損失を与える行為です。このようなことが起こるのは、インターネットが普及し、技術力が進歩したからこそ可能になったということもあるのでしょうが、それ以上に会社とアルバイトの関係性が希薄になっているということも大きな要因でしょう。

終身雇用の時代は、企業コンプライアンスを整備する必要など無かった時代であるといえます。

何故ならば、この時代においては会社に対する忠誠心をほぼすべての社員が持ち合わせていたので、どんな社内情報でも漏れることは無かったからです。

言い方はおかしいですが、コンプライアンス違反が行なわれていたしても、全ての情報が社内に留まり、外からは一切見えなかったというわけです。これも、会社が意図をもってそのようにしていたわけではなく、忠誠度が高い故に自動的にそのような機能が働いていたということです。

企業への忠誠心の薄れが問題を大きくしている

忠誠心のみならず、社員同士の仲間意識すらも薄れてきた現代社会では、ルール違反があれば、すぐに表面化してしまいます。

ですから、企業は防衛のためにコンプライアンスを強く意識せざるを得ない状況になったわけです。

一見するとコンプライアンスとは無関係のように思える雇用形態の変化ですが、企業コンプライアンスの広がりに強い影響を与えたと言えるでしょう。

最近ではインターネットが普及したことで、さらにコンプライアンスへの関心が高まっているのは当然のことです。今後も、消費者や労働者の価値観の変化はもちろん、外国人労働者やインバウンドの増加など、今までなかった社会的変化が日本には起こってきます。

すると、益々コンプライアンスの重要性は高まることでしょう。

 

企業コンプライアンスについて理解する

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