外注する場合には要望事項をしっかりと伝え、依頼する場合には妥協せずに内容を詰めましょう。

コンプライアンス研修の一日の流れ

コンプライアンス教育を、研修会社やコンサルティング会社、弁護士事務所といった外注先に依頼したとしましょう。

ほとんどの外注先では、依頼企業の実情を踏まえた研修カリキュラムを企画し、提案してくれるはずです。

今回は、コンプライアンス教育をこれから導入するといった初期段階の研修カリキュラムの一例をご紹介します。

コンプライアンス研修の場合、2時間~3時間程度の短時間設定で行われることもありますが、これはあらかじめ出来上がっているテキストと内容で実施するものです。実施する会社の現状を踏まえた内容にはなっていませんので、あらかじめ収録された動画を見ているのとほぼ同じようなイメージです。

ここでは、企業の現状を踏まえたコンプライアンス教育を行うものとして、オリジナルのプログラムを1日がかりの研修で行う場合を例示してみます。

研修のオープニングとして行われるのは、講師が社員に問いかける形で進められるコンプライアンスの意識調査や、コンプライアンスに関する基本知識の解説です。

続いて、職場ごと(事業部や部署ごと)のコンプライアンスに関するグループディスカッションを行います。

グループディスカッションでは、コンプライアンス違反事例を参考に、問題点や原因、対応策や予防方法などを検討し、グループ内で発表後、全体に対しての発表も行われます。また、全体を横断しての意見交換も実施され、グループの発表内容について講師からフィードバックを得られます。

身近なコンプライアンス事例に触れた後は、対象が拡げられ、企業の社会的責任や貢献などについての理解を促す内容が解説されます。

その後、今後の行動変容を促すために、業務上関連性の高い、機密情報管理やコンプライアンスの推進に対するグループディスカッションも行われます。グループディスカッションでは、今までのインプットを踏まえて、自らがどのように行動に起こしていくのか、アウトプットを行うことになります。

研修には参加者を増やす工夫が必要

全体の流れの中に、自社の現状を踏まえた内容が適宜組み込まれていきます。

たとえば、女性が多い職場であれば、女性特有のコンプライアンス違反事例を多く盛り込んだり、事業に関連したコンプライアンス違反事例と裁判の判例などが解説されることで、社員の興味関心を引き付け、飽きずに研修を受講することができる工夫がなされます。

外注先が提案する1日の研修カリキュラムは非常に濃密で、コンプライアンス教育として大変意味のあるものです。

ハードスケジュールかもしれませんが、その意味を汲み取ってできるだけ多くの社員を参加させましょう。意図を明示せずに参加希望者を募ると、「仕事が忙しい」というような理由で欠席をする社員が多くなります。

また、コンプライアンス違反をなくそうというネガティブアプローチよりも、コンプライアンスに取り組み売上をアップさせよう、というようなポジティブアプローチの方が、社員の関心も引き付けやすいといえます。

いずれにしても、コンプライアンス教育は全社的な取り組みとして行う企業がほとんどですので、社長や管理職からの通達(業務命令)をしっかりと周知する必要があります。

コンプライアンス教育・研修の機会はそれほど多くはなく、運用のための継続教育は情報発信によって行うものの、研修自体は1回だけの実施が最初で最後ということもあります。

貴重な機会になることをコンプライアンス担当者は前面に打ち出し、全ての業務を中断して一斉参加を半強制するというような思い切ったことも時には必要になります。

 

コンプライアンス教育の方法について

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