使えるコンプライアンス知識を得るためには事例活用が有効。自社で内製化して教育を行う場合には事例活用を忘れないようにします。

テキストやマニュアルを併用すると効果アップ

一問一答形式のe-ラーニングは、外注依頼によるセミナー・講義形式よりも、コンプライアンス教育においては高い効果を示しています。

特に、具体的な事例に基づいたテストに取り組めば取り組むほど、コンプライアンス意識は向上すると言われています。

しかし、e-ラーニングによってコンプライアンスの知識をインプットし、一問一答式でアウトプットをしたとしても、これだけではコンプライアンスを社内にしっかりと浸透させることは難しいだろうと考える人もいるでしょう。

e-ラーニングに加えて、セミナーを外注依頼することを検討する担当者もいるようですが、セミナーよりもテキストやマニュアルとの併用が好ましいと言えます。

e-ラーニングとセミナーは、インターネット上かリアルの会議室かという違いであって、確かに時間や空間の違いはありますが、インプットとアウトプットという点ではどちらも同じ性質を持っています。

テキストやマニュアルとe-ラーニングを併用するのは、いったいなぜでしょうか。

テキストやマニュアルを事前に配布しておくと、社員はe-ラーニングに取り組む際に、それらに目を通すことになります。目を通さない社員もいるでしょうが、あくまでもテキストを通読した知識レベルを前提にe-ラーニングの内容が構成されていれば、事前に読んでいないと付いていけなくなるため、社員からすれば読まずにいられないわけです。

テキストを読まずにe-ラーニングを開始すると、受講そのものは最後まで終了できますが、最後の一問一答では多くの正答を得ることができません。

予習としてのテキスト学習によって、より深い学びに繋がるというわけです。

併用することで意識を高めることができる

e-ラーニングを活用せずに、テキストやマニュアルだけでコンプライアンス教育を行うこともできます。

最も簡単な方法は、コンプライアンス違反の事例集を配布することです。この方法であれば、外注依頼する必要もなく、企業にとっては時間もコストも低減できる便利なものです。コンプライアンス違反に関する事例は、社員にとっても興味深い内容であることから、読み物としての価値もあります。

しかし、実際にやってみるとわかるのですが、いくら事例集が面白いといっても、それはコンプライアンス担当者の感覚であって、一般社員からすると、事例集など何が面白いのか?という意見が多数です。

しかも、通常業務ですら忙しくて手が回らないのに、業務と関連性の低いようなコンプライアンスの資料に目を通せとは何事だ!というようになることがほとんどです。社員の主体性だけに任せると、やはりコンプライアンスは社内に浸透しないと考えた方が良いです。ここは割り切ってしまったほうが賢いと思います。

そこで、コンプライアンスを社内に浸透させるためには、いくつかの教育方法を併用して行く必要があるのです。

テキスト学習とe-ラーニング、テキスト学習とセミナー、など、それぞれの教育方法のメリット・デメリットを熟知したうえで、お互いを補うことができるような組み合わせを併用すると、効果を高めることができることでしょう。

ただし、社員にあまり負荷をかけるようなことは好ましくありません。

コンプライアンスという専門的な知識やスキルを学ぶ以上は一定のストレスは掛かると思いますが、それも必要以上に負荷になると会社によるパワハラとも受け取られてしまいますので、注意が必要です。

 

コンプライアンス教育の方法について

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